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2mほどのスクリーンにいくつものスクエアマーカーが映っていた。それがスクリーン上で目まぐるしく展開している。
リケンベたちは宇宙戦の監視モニター室に来ていた。
マーカーにひとつが消えると観覧していた他のパイロットたちから歓声が上がった。
「盛り上がってるな」
「そのはずですよ。見てください」
デイモンはスクリーンを指差した。マーカーの色はグリーンとホワイト。その対比は9対1だ。
「どういうことだ?」
「こっちもハンデ戦ってことです。しかも三個小隊相手の。遊びとは思いますがこんなのは自分も見たことはない」
「そんな事がありえるのかい?」
グリーンのマーカーがまたひとつ消えた。歓声が再び上がる。
「ありえるかも」
グリーンはホワイトを包囲しようと詰めていくようだが、いいポジションになるとホワイトは難なくすり抜けていく。それ
を何度も繰り返していた。
「上手いな」
またグリーンのマーカーが消えた。
「"リトル"! "リトル"! "リトル"! 」
コールが湧き上がった。
声援がパイロットに届いたかのようにマーカーが連続して消えた。さらに室内は盛り上がった。すでにグリーンのチ
ームの数は半数を割った。
「このまま勝つかな?」
「一年戦争では一機で12機のリック・ドム※を撃破した記録があります」
「ありえんことではないわけだ」
その後、ホワイトマーカーの快進撃は続き、ものの数分で残りのマーカーの殆んどを消し去った。そして最後のグリ
ーンマーカーが消えた時、大喝采が起こった。
「このパイロットにぜひ会いたいね」
「すぐに帰還するはずです。ドッグに行きましょう」
※リック・ドム(MS-09R)一年戦争後期のジオン公国軍主力モビルスーツ
開きっぱなしのゲートにジムの部隊が次々と侵入してくる。先ほどまで模擬戦を展開していた集団だ。
「多分あれだ。最後にくるやつ」
エアルームの窓越しからデイモンは後方のRGM-79"ジム"を指差した。
「分かりますか? 機体ナンバーが07のジム」
エアルームの前にちょうどジムが停止した。コクピットが開かれた。黄色いノーマルスーツが見えた。
「彼と話したい」
ブラックウェルは頷くと壁に掛けられた受話器を取るとボタンを押した。
「管制室か? デイモン大尉だ。悪いが"リトル"を呼び出してくれないか? 」
ジムのパイロットに通信が入れられたらしくコクピットから出ようとしていたところで動きを止めていた。デイモンの内
線はパイロットに繋げられた。
「"リトル″か? 私はデイモン大尉。ちょっとそばのエアルームを見てくれないかな」
パイロットは受話器を持ったデイモンを見つけた。デイモンは軽く敬礼をする。
「話がしたい。来てくれないか?」
パイロットは了解の合図に手を振って見せた。
「OK、待ってる」
しばらくするとルームのドアが開かれた。
入り口に立つパイロットの姿にリケンベの予想は大きく裏切られた。
「失礼します」
その容姿はとてもモビルスーツ9機を相手にしていたとは思えないほどきゃしゃで小柄だった。中に入るとグリーン
がかったショートヘアがなびいた。
パイロットはリケンベたちの少し前に立つと敬礼した。
「何でしょうか? 大尉」
その声は涼やかで聞き心地がよかった。
「楽にしてくれ、准尉」
パイロットは直立不動の姿勢を崩すと腕を後ろに組んだ。
「こちらの中佐殿が君に用事があるそうだ」
デイモンが目配せするとリケンベは咳払いする振りをして彼に呟いた。
「間違いじゃないのか?」
「いえ、彼女があのジムのパイロットです」
平然とでイモンは言い放つ。リケンベは半分納得しないような面持ちでパイロットを見た。
女性パイロットは珍しくない。しかしこの娘には戦闘MSのパイロットらしさは全く感じられない。ましてや9機のジム
を撃墜した人物と同じとはリケンベの頭の中では、どうしても″変換″できなかった。
リケンベに半ば睨みつけられるような感じで見られたパイロットは少し不安げな表情になる。その顔つきは戦闘兵
器のパイロットというよりは、客のクレームに戸惑うレストランのウェイトレスといった感じだ。
「えーと…君の氏名は?」
「ミナ・ハンサカー准尉! コールサインは"リトル"です。中佐」
「そうか……リトル・ハンサカーね」
「いえ! ミナ・ハンサカーです。中佐!」
二人のやり取りをそばでデイモンが楽しげに見ていた。
「ハンサカー准尉」
「はい! 中佐」
「君はガンダムに乗りたくはないか?」
一瞬、呆気にとられたミナだったがすぐにその表情が喜びに変っていくのが分かった。
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