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二稿目
「こんなところで何してるのよ」
「ちょっと買い物にね。あんたの方は? クリスタル」
「うん、仕事でね。臨時に店を開いたんだ。すぐそこだから寄ってく?」
そい言ってクリスタルはキーラの手をひっぱった。
「ちょ、ちょっと、そんなにひっぱらなくても…」
二人は細い路地に入っていった。人気の無いところに怪しい看板が出ている。髑髏に蛇が巻きついたプレートを付
けたその看板は如何わしさ満載だ。絶対、良くない物が売ってるに違いない。
「わーっ、これ見て。すっげー趣味悪っ」
「……ごめん、これがあたしの店」
「えっ!」
クリスタルから、さっきまでの明るい笑顔は消えていた。心なしか涙目だ。
「い、いや…よく見るとセンスがあるデザイン。これってモッズ系?」
「無理しなくていいよ。どうせ、趣味悪いもん……ぶつぶつ」
クリスタルが鍵を開け中に入るとずらりと怪しい品物が並んでいた。どうみても看板どおりの品物ばかり。
「わーっ! すごい妖気ね」
「まあね。全部、呪いとか魔除けの品物ばっかだから」
「"黒の魔法"の得意分野ね。クリスタルは黒の魔法の成績よかったから」
「小遣い稼ぎになるのよ、けっこう。キーラも黒の魔法を専攻しとけばよかったのに」
「あーダメダメ。あたし、呪い系な黒の魔法って何か暗いから合わないのよねー。なんかブードゥー系? 陰湿でネチ
ネチしてて油っぽくてコレステロール高すぎってゆーか……あっ!」
隣でクリスタルが呪いグッズをいじりながら何か小声で言っている。
「どうせ、黒い魔法の得意な女の子なんて可愛くないもん……ぶつぶつ」
「い、いや、ほら! 私って不器用でしょ? だから複雑でむっずかしーな呪い系な黒の魔法って無理かなーって……
もう少し簡単な医療系"白の魔法"や自然派な"青の魔法"の方が合ってるって感じ? でもスピリチュアルな緑の魔 法は難しすぎるから…その……」
「いいよ、いいよ、無理しなくって。ってゆーか、どうせブードゥー系だしぃ……。"人を呪わば穴二つ"。昔の人はいい
事言うわ、やっぱ……」
「クリス! ほっんと! ごみん!」
クリスタルの背中にしがみつくキーラ。
「いっつも余計な事ばっか言ってるおバカな私を許して! だから呪わないで〜っ……ん?」
キーラは目前の壁に掛かる毛皮のコートに目がとまった。
「いやーん♪ カワイ過ぎ〜!」
コートを手に取ろうとしたキーラの手首をクリスタルが、ガシッと掴んだ。
「だめよ! キーラ。これは呪いの毛皮よ」
「これが? こんなにカワイイのに〜♪」
クリスタルは首を振った。
「見かけに騙されちゃだめ。結構、傑作なんだから、これ」
「どうなるの?」
「これを着るとね……」
その時、外で叫び声が聞こえた。
顔を見合わせるキーラとクリスタル。
さらに叫び声が聞こえた。
外に飛び出したキーラは声のする方を探した。クリスタルがドアから顔を出す。
「ほっときなさいよ! キーラ。私たちには関係ないわ」
「でもさぁ……」
怒鳴り声と悲鳴が聞こえた。キーラは声の方に走った。
「もう……相変わらずねぇ、あのコは」
クリスタルは頭を掻きながらキーラを見送った。
巨大な爪が兵士の背中を切り裂いた!
叫びを上げて倒れる兵士を別の兵士が助け起こす。
「お、おのれ」
剣を構える兵士たちの前に立ち塞がるのは全身を茶色い毛に覆われた二本足の獣だった。牙をむき出しにして目
は血走り、怒りに満ちている。
「この、ライカンスロープめ!」
ライカンは切りかかった兵士をいとも簡単に殴り飛ばした。数メートル先の壁にたたきつけられた兵士はそのまま動
かなくなった。
生き残った兵士たちは一ヶ所に集まった。後ろは壁だ。たった一匹に追い詰めれていた兵士たちは震えながら剣を
構えた。
「く、くるな! ライカン!」
ライカンは兵士達に飛び掛った!
その時、ライカンの前をブーメラン型の剣が回転しながら飛んできた。とっさに身を引いたライカンは剣が飛んできた
方向を睨みつけるた
そこにいたのは水色の髪をした蒼い服の女だった。
「"おイタ"はそこまでよ!」
キーラは剣につなげた紐をひぱった。キーラの元に戻っていく剣は再びライカンのそばを飛んだ。身をかがめて避け
るライカンは唸り声を上げた。
戻ってきた剣を掴むと独特な構えをとるキーラはライカンを指差した。
「来なよ」
飛び掛るライカンを軽々と身を交わし避けたキーラは振り向きざまにライカンの腕を切った。傷口から鮮血が飛び散
る! ライカンは痛みと怒りで恐ろしい雄叫びを上げた!
その時、大勢の声がした。
「いたぞ! ライカンだ!」
「こっちだ! 急げ!」
それに気がついたライカンはキーラに反撃するのを諦め、屋根い飛び上がって逃げた。
「待ちなさい!」
後を追おうとしたキーラだったが周りを応援に来た兵士に取り囲まれてしまう。
「ちょっと、ちょっと……」
「武器を捨てろ!」
「追うのはあっちでしょ?」
「武器を捨てるんだ!」
「ま、まて! その人は違う!」
足を引きずった血まみれの兵士が割って入った。
「その人は俺たちを助けてくれたんだ。敵じゃない。武器を下げろ!」
それを聞いた兵士達の剣がゆっくりと下げられた。
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