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「うちの兵隊を救ってくれて感謝する」
兵士を救ったキーラは礼の為に城に連れて行かれた。謁見室に招かれ王様の前に立ったキーラは照れくさそうに
頭を掻いた。
「別に……大したことじゃないですよ」
「いや、身の危険をかえりみずライカンの前に立った勇気には感服するばかり。皆の者! 拍手!」
王様の合図でその場にいた家臣たちが一斉に手を叩き始めた。ちょっとわざとらしい。
「そ、そうですかぁ?」
照れくさそうに愛想笑いをするキーラだった。
「……ところで、そなた、不思議な技を使うそうだな」
拍手がピタリと止まる。
「不思議って……まあ、たしかに変わってるかもしれないけど」
「その腕を見込んで頼みがあるのだが、どうだろう?」
「頼み?」
「姫をここに」
衛兵がドアを開くと美しい少女が現われた。雪のように白い肌にキーラは思わずどこの化粧水を使っているのか聞
こうとしてしまった。
少女はゆっくりと絨毯の上を進むと王様の横に立った。
「一人娘のジュエールだ。そなたが立ち向かったライカン、実はこの姫を狙ってのこと。今回は撃退したものの、いつ
また襲撃があるやもしれん。そこでキーラ殿、そなたに姫の警護を頼みたいのだ」
王様の横にいた姫様はキーラに会釈した。
「でもなあ……あたし買い物に来ただけだしぃーっ」
「どんな条件でも飲もうじゃないか。何でも言うがいい」
「え? どんな事でもいいの?」
夜になった――
結局、ブランド品のお土産を条件に警護を承諾したキーラはお姫さまの部屋についていった。
「きゃー! 素敵!」
キーラは部屋の中を見渡してそう言った。高級そうな飾りや小物が沢山置いてある。
「そうですか?」
姫様は大したことはなさそうに答えるとベッドの上に腰掛けた。
「あなた剣士?」
「あん? 違う違う。剣法はダイエットの為に習っただけ。本業はこっち……」
そう言ってキーラは指をくるくる回した。
「あっ……」
ジュエールはキーラの指先を見て驚いた。
指先の周りに霧のようなものが現われ何かを形作った。時々光が反射して小さな光点が点滅している。そしてそれ
は小さなバラの形になっていった。
「わあぁ……」
ジェエールは子供の様に目を輝かせた。
キーラが手を下ろすと水蒸気で、できたバラの花がパッと四散した。
「すごーい! すごーい!」
キーラは、まるでショーを終えた大道芸人かの様に手を広げて大きく会釈した。
「あなた、魔法使い?」
キーラはそれに答えず肩をすくめただけだった。
「魔法使いね! ふふふ、魔法使いが私の護衛。素敵!」
謁見の間からここまで綺麗だがツンとしていた印象だったジュエールだが、今は小さな子供のように目を輝かせて
いる。
「ねえ、キーラ様。私に魔法を教えて下さらない?」
突然の申し出にキーラは唖然とする。
「はあ?」
「いいでしょ? お姉さま」
「お姉さまぁ?」
その言葉はさらにキーラの唖然とさせた。
「今日から私はあなたの弟子です。呼び捨てする訳にはまいりません」
「だったら先生とか師匠とかじゃん。あっマスターでもいいわね……」
「でも、キーラさんって私と年も近そうだし先生や師匠じゃ、おかしい気がして」
言われてみれば師匠という柄でもなく、先生と呼ばれるのも照れくさい。
「す、好きに呼びなよ」
「じゃあ、魔法も教えてくださるのね」
「あっ……そ、それは……」
成り行きにまかされっぱなしのキーラであった。
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