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 次の日の朝――

 一昼夜行なわれたイベントも終了し会場からは集まった観客たちが帰りの道を歩いていた。騒ぎまくって疲れきった
観客たちの行進は少しゾンビっぽい。
 その中にキーラとクリスタルもいた。
「ねえー、キーラ。機嫌直してよーっ」
 無言で俯いて歩くキーラにクリスタルが抱きついた。
「フォウさんはいい人っぽいけど、何か私の好みと違うんだよね」
「いいよ、同情は……」
 力ない小さな声でそう呟くキーラ。
「違うって! マジそうなんだから!」
「あたしも黒い魔法習おうかなぁ……なんか気分的にそんな感じ」
「もうーっ! キーラ、ほんっとごめーん。でもマジでフォウさんには興味ないから」
「ホントに?」
「ホントにホントだって」
 その時、前に何やら騒がしい集団を見つける。
「あれ? あんたたちは」
「あっ……」
 中央に腕を組みながら立つ女と目が合った。
 黒い魔法使いバルゼヴヴ・ラヴィーンとその仲間たちだ。
 キーラの姿を見つけると怯えたのか一斉にラヴィーンの後ろに下がった。
 じっとキーラを見つめるラヴィーン。
「なに? またやる?」
「いや、あんたとはやり合う気はないよ。そのさ……悪かったね」
 頬に大きな絆創膏を貼り付けたラヴィーンは鼻の頭を掻きながら照れくさそうにそう言った。予想外に素直に詫びる
ラヴィーンに拍子抜けするキーラ。
「素直じゃない?」
「まあね。あたし達もあたし達なりに楽しみたかっただけでさ。ちょっと行き過ぎちゃったって思ってるんだ。その……
よかったら仲直りしないかい?」
「えっ?」
「実はさ、気に入っちゃったんだよね。あんたの事」
 キーラも少し照れくさくなり頭を掻いた。
「べ、別にいいけどさ」
 そう言ってキーラは右手を差し出した。ラヴィーンも二コリとしてその手を握る。
「へーえ。キーラ、今回、新しいトモダチばっかできるね」
「ああ、このコ、私の親友でクリスタル。あんたと同じ黒い魔法使いなんだよ」
「よろしくーぅ」
 語尾を延ばしながら、にこにこして手を差し出すクリスタル。
 その時、クリスタルの袖から紙切れが落ちた。
「ん、あんた何か落としたよ?」
「え? あーっそれは!」
 紙切れを拾い上げるラヴィーン。
「ファウ・サマー……××シティー○○通り……誰かの住所ね、これ」
 キーラの視線がクリスタルに向けられる。
「クリス…フォウくんには興味ないって言ってたじゃん!」
「いや、それはその……なんというか……旅は道連れ世は情けと申しまして」
「落語家か!」
「まあ、ほら、流れでってやつ?」
「く、黒い魔法使いなんて……黒い魔法使いなんて……」
 涙目になるキーラ。
「大キライだーぁ!」
 駅に向って一人走り出すキーラ。
「あっ待ってよ、キーラーっ!」
「な、何か悪い事したか?」
 戸惑いながらクリスタルに訊ねるラヴィーン。
「いやぁ……そうじゃなくって……」
 気まずそうに答えに詰まるクリスタル。

 その後、キーラは一人で魔法列車に乗り込んだらしい。
 一方、クリスタルとラヴィーンは予想以上にハードコア系な話で盛り上がったそうだ。
 

 これは遠い世界の魔法使いの物語。
 しかし、魔法でなんでもなるとは限らない。
 特に恋の事は。


 おわり



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