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陽も落ちかけコンテスト会場に向うキーラたちであったが途中、クリスタルとはぐれてしまった。林の中を歩くキーラ。
他の会場に比べると人影も随分少なくなっている。手店も見当たらない。
「クリス〜っどこ〜っ」
キーラは呼びかけてみたが何の返答もなかった。
「まったく、どこにいったのかしら? あのブードゥー娘は」
その時、林の奥に聞き覚えのあるメロディが聞こえてきた。
「フォウさん?」
音の方に向ったキーラは切り株に座りギターを弾くフォウを見つけた。
「キーラさん」
「私たちそろそろ時間だと思ってコンテスト会場目指してたんだけど。いいの? まだこんな所にいて」
フォウはうなだれた。
「ど、どうしたの? 何かあった?」
「実は……少し問題があって」
「問題?」
その頃、クリスタルは途中の出店で焼きソバを買っていた。
「なんでこーゆー所で食べる焼きソバって美味しいのかしら…あっおじさん、マヨネーズ大盛りで」
「歌詞がまだ出来てないって〜っ?」
目を丸くするキーラにフォウは力なく頷いた。
「コンテストに出るのに?」
「いや正確には仮の詩はあるんですが、これが納得がいってなくて……」
「納得って? もーっこれだから芸術家肌ってのは。で、今の歌詞ってどんなよ?」
フォウはアカペラで歌い始めた。
しばらく黙って聴いた後、キーラは口をへの字のして言う。
「別に変じゃないよ? いいじゃん、これでいけば」
「違うんですよ。これは恋愛の歌ですが何かこう実感が……」
キーラを頭を掻いた。
「フォウ、私、音楽って語れるほど詳しくないんだけどさぁ」
キーラは腕を組みながら言い始めた。
「そりゃ、私も綺麗な詞は好きよ。でも、飾り立てた言葉を並べるより、なんというかきっと自分の気持ちを素直に伝え
る言葉というか……正直な気持ちの方がずっとここにくると思うワケよ」
そう言ってキーラは自分の左胸を指差した。
「正直な気持ち…・・・」
フォウはため息をついた後切り出した。
「実は僕、一目ぼれをしてしまいまして!」
「えっ?」
「その人は、その…本当に逢ったばかりなんですが」
「会ったばかり? よっぽど気に入ったのね」
「ええ。で、その人とっても個性的で……」
「ふんふん」
「それにとっても優しそうで、いっしょにいると、なんだか本当に心が和みそうな人なんです」
「なんかいい面しか見てないって感じね」
「そうですか?」
「そうよ。でも恋愛なんれそんなもの」
「お詳しそうでうね」
「ま、まあね……でも、ちょっとばかり悔しいけどそう思われる相手が羨ましいわ」
「はい。それで特に特徴的なのがですね……」
「ふんふん」
「彼女、魔法使いなんです」
「ん?」
キーラは顔を上げてフォウを見た。
「最近会ったばかりの個性的な魔法使い……それってもしかしてその彼女っていつも二人連れ?」
「は、はい。そのとおりです」耳を赤くして視線をずらすフォウ。
その返事を聞いたキーラの顔が思いっきり緩み始めた。
「キーラさん!」
「は、はい」
突然、真剣な顔をしてキーラを見つめるフォン。その態度にキーラの心臓がドキドキ高鳴った。
「僕、実は!」
フォウの真っ直ぐな目はキーラを見ていた。
キーラはゴクリと生唾を飲み込む。
「僕は……」
その時、黒い蝙蝠が目の前を横切った。
「きゃっ!」
驚いて飛びのくキーラ。
耳障りな甲高い鳴き声が聞こえる。見ると頭上に無気味な蝙蝠の群れが旋回していた。
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