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Dファクトリー

6、救出作戦!
二稿目


「さあ、これで準備はばっちりです!」
 意気揚々でキーラと一緒に歩くシローが言った。
 その頭はキーラの空色の髪が編みこまれ、長髪になっている。
 空飛ぶホウキに乗る為に魔法をかけた髪をつけたのだ。
「いやー、あの時は、命取られると思いましたよ」
「取らないわよ、そんなセコイ命なんて」
「えー、でもキーラさん、目がマジでしたよー」
「またまた」
「本当に怖ったぁ」
 そう言って先を行くシロ―の後頭部は渦巻きに刈られていた。
 そして二人を送り出したカットハウスの店長ブラウンは、潤んだ眼で見送る。
「がんばってね。ふたりとも……」
 溜まった涙をぬぐいながら店に戻るブラウン。その後頭部はパンダの顔に刈られていた。


 *  *  *  *  *


 そしていよいよ湖にやってきた二人。
「準備はいい?」
 言われたシローはキーラに親指を立てて見せるとゴーグルを付けた。
「いい? あんたは空飛ぶホウキに慣れてないんだから、特に難しい事は考えないでいいよ」
「イエッサー!」
「だから、とにかく真っすぐぶっ飛ぶのよ」
 そう言ってシローの後ろに回ると肩越しに手を伸ばして塔のてっぺんを指差した。
「イエッサー!」
「とにかく真っすぐ! それだけよ!」
「イエッサー!」
「さあ、行って!」
「イエッサ……あの、キーラさんは?」
「わたしはここで見守るわ」
「え?」
「だから見守っているから」
「えーっ! 冷たい!」
「ほら! 救出作戦開始!」
「でも、止まり方とか、曲がり方とか……」
「GO!」
「ちょ、ちょっとーおおおおおお」
 空飛ぶホウキカスタム・ベオウルフ1000が土煙りを上げて湖畔から飛び出していった。
「うーん、いい出だしね。ん?」
 塔まで半分の距離まで来た時だった。
 湖面が揺れだした。
「わあああああああああああ」
 塔目、がけてまっすぐ飛び続けるベオウルフ1000の前に巨大な蛇が姿を現した。その巨大な口をいらっしゃいませとばかりにぱっくりと開けている。
「まじまじまじーぃ!」
 止まれないシロ―はそのまま一直線に蛇の口の中めがけて突っ込んでいった。
「ひいいいいいいいいいいい」
 その時、蛇の目の前を何かが横切る。
 蛇は、それに興味を示し、顔を向きを変えていく。
「この内に早く!」
 それは空飛ぶホウキに乗ったキーラだった。
 蛇の注意をそらす為に目の前を通過した後、上昇していった。キーラを追って頭を伸ばしていく巨大な水蛇。キーラの真後ろに蛇の巨大な口が迫る。
「こ、こいつ、思ったより俊敏!」
 塔の高さより高く飛んだ時に蛇の体長は限界になっていた。伸ばし尽くした蛇はそのまま湖面に倒れていく。身体が湖面に着水した時、巨大な水しぶきがあがっていった。同時に虹が起きていく。
「ああ、すげえ……って言ってる場合じゃなーい」
 シローを乗せたベオウルフ1000が塔の窓に飛び込んだ!
 騒がしい物音が塔の中に響いた。
「誰?」
 中のベッドの上に横たわっていた姫さまがやかましい音に気づいて体を起こす。
「ひ、ひめさま! 朱姫さま!」
 シローが散らかった家具の中から立ちあがった。片方の鼻の穴から赤い血が流れている。
「シローですか?」
「はい! お助けに上がりました」
「シロー!」
「朱姫さまー!」
 姫に駆け寄るシロ―。
 その時、塔の窓からキーラが飛び込んできた。キーラは空飛ぶホウキをベッドの手前でカウンター当てて停止させるとホウキから飛び降りた。
「何してるの! 怪物が気がついたわよ!」
 ひしっと抱き合う二人。
「え?」
「ありがとう、シロー。私の為に」
「ひ、朱姫様……?」
「あの……」
 キーラが気まずそうに言う。
「シローはあっちなんだけど」
「え?」
 キーラに抱きつていた朱姫は、顔を上げると懐から黒ぶちメガネを取り出してかけるとキーラの顔を見る。
「あれ? す、すみません。なんか、よく見えなかったもので」
「いいけど、抱きついた時、気がつかない? 普通」
「いや、なんか柔らかくっていい匂いがするから……いいかなーって。変だとは思ったんですけど」
「に、似たものカップルめ」
 鼻血を流しながらシローがそばにくる。
「さ、早く逃げましょう。これにお乗りください」
 瓦礫の中からベオウルフ1000を引っ張り出したシローだったがその表情が急に固まる。
「どうしたの? シロー」
「キーラさん、あれ……」
 シローが窓を指差す。
「なに……うわっ!」
 窓の外から大蛇が中を覗き込んでいた。



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